建築のまえに

Corb [コルブ] 一周遅れの建築と人の話

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100808水は低きへ、文化は高きへ

少林山達磨寺 は七草のだるま市で知られたお寺さんで、北斗七星を祭っているために、北に向いて御堂が建っている少し変わった造りをしています。

戦前に日本インターナショナル建築会という団体に招かれて来日した、ドイツ人の建築家ブルーノ・タウトさんは、若い頃に近くの家に下宿をしていた日本人の留学生と知り合い、彼から日本について知識を得て、まだ見ぬ東洋の島国に興味を持つようになったそうです。

タウトさんの日本での生活は、経済的にも仕事の面でもけっして恵まれていたとは言えませんでしたが、桂離宮や飛騨高山の合掌造りなど、日本文化の美しさを広く世に再認識をさせたことは、明治維新以来、自分の国の文化に自信を持てなかった日本人には大変にうれしいことだったでしょう。

そのタウトさんが約2年ほど滞在した住まいが、このお寺の境内にある「洗心亭」という離れで、二部屋しかない小さな平屋の建物で、どれほど日本文化の良さを賛美しても、夏の暑さや冬の寒さはさぞ身にしみると思えるほど質素な建物です。

       IMG_2418.jpg

タウトさんも好んでこの家に住んだのではないことは、後にトルコ共和国へ行き、トルコ政府最高建築技術顧問となった時に自邸として設計して造った建物は、地中海風の立派な西洋館です。

龍馬伝に出てくるグラバー邸にかぎらず、明治政府が外国から招聘した技術者ら外国の人たちが住む建物は西洋館が当たり前で、日本家屋は木と土と紙で出来た粗末なものと映ったのでしょうし、おおくの日本人もそのことに劣等感を持っていたことでしょう。

            img934.jpg

今では、日本の住宅も居住性能の面では、高性能な建材や住宅設備のおかげで、昔とは比べものにならないほど進化しましたし、必要な変化は進んで取り入れなければなりません。

私たちは「もの」を選ぶときにどうしても「憧れ」や「希望」がさきになり、自分たちが持っているタンスの引き出しを顧みることもなく買い物をしてしまうことがあります。

今の日本の町並みも、このような人々の選択によって作られた結果です。

自分たちの足元の文化を理解することは、ますます国際化が進む現代には大変に重要になことですし、豊かな近隣社会を創るうえでも大切なことでしょう。


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100530 一望監視所

ジェレミ・ベンサム さんといえば「最大多数の最大幸福」という言葉で知られている功利主義者ですが、その才能は多岐に及び、刑務所の設計をしたこともご存じの方が多いと思います。

彼の考えた建物は、円形に配置された独房が多層式看守塔に面するようになっていて、巧妙なブラインドにより収容者同士は、互いを見ることが出来ないが、看守からはすべての収容者を監視することが出来るもので、パノプティコン(一望監視所)と呼ばれました。

        180px-Panopticon.jpg

この大発明は、良いことにも悪いことにも利用される可能性を持っていて、ミシェル・フーコーさんは「監獄の誕生」の中で、現代社会の権力による一方的な支配構造を可視的に表したものとしてとりあげましたし、実際に同様の考え方によって造られた刑務所も多くありました。

1980年代になるとジョージ・オーウェルさんの小説の世界が、現実に起こりうるかもしれない近未来ではなく、すでにそれが身の回りに起こっているのではないかということを危惧するいろいろな方の文章と共に、パノプティコンも取り上げられることもありました。

現代社会に暮らす人たちが、互いに不信感を抱き、お互いが他人に無関心であったり、常に匿名の存在でいたいとか、人に見られるということに過敏であったりとか、当時の心配は現実になってしまったように思えてなりません。

また一望監視の考え方は、病院建築にも応用され、その代表的な建物としてアントニン・レーモンドさんらによって設計された、聖路加国際病院の旧館をあげることが出来るでしょう。

この建物のプランは十字架のかたちをしていて、その要の位置にナースステーションが有り、一ヵ所に居ながら同じフロアーの各病棟を見渡すことが出来るようになっています。

しかし、この建物の非凡さは、そのナースステーションの奥が、ガラス張りになっていて、病院の吹き抜けになったチャペルの、質素で美しいステンドグラスに浮かぶキリスト様の像が、看護婦さんの肩越しに見えることで、病める者が看護婦さんを通して神様の姿をつねに意識出来るという一直線の関係を作り上げていることでしょう。

この建物のような、ティンパニーが鳴り響く惑星直列のような神々しい平面を見ると、プランニングの大切さをあらためて実感しますが、刑務所と病院が似たような建築のタイプというのも大変興味のある話ではないでしょうか。

もしかしたら、他にも同じ建築タイプの建物や、社会の仕組みがあるかも知れませんから、まずは身の回りのものから探してみるのも面白いと思います。

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